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唐突に思いついたので殴り書き。もし無自覚シリーズでリボーンがやってこなくてマフィア云々がなかったらあの2人はいつくっつくんだろうと思った番外。というかパラレル。
って五月に出したいんならこんなん書いてる場合じゃないよ!!(最悪




※まだ2人とも付き合うどころか無自覚です。



「ああもうどうしよーー!」
沢田綱吉18歳。性別男のふりはしているけど女。高校卒業を間近にひかえ、彼女は頭をかかえていた。
別に卒業自体を鬱に思っているわけではない。分かれがたい友人は――……まあ中学卒業間際にちょっと仲良くなった笹川京子とかその繋がりで黒川とかもいはするが、彼女達はご近所の大学に進学が決まっているからそこまで別れに悲壮さはない。一番別れが辛い相手は丁度一年前にすでに卒業してしまっているから、彼女からしてみればむしろ卒業自体は万々歳だ。

じゃあ何が問題なのかという話である。

卒業は決まっている。さんざんな成績ではあったもののなんとか留年もせず無事今まで進級してきたし、なんとかなった。そう、『なんとかなった』レベルなのである。ここらへんは少し関係してくる。

「全部不採用ってどれだけダメツナなんだよオレ……」

目の前に広げられているのは様々な会社から送られてきた書簡である。それらは全て、今までに彼女が採用試験をうけてきた結果。ようするにその会社に就職できるかどうかが書かれていた。
並ぶ不、不、不、不、のエンドレス。
いまや大学卒でも就職が難しい時代。どこもダメツナと名高い人間なんて雇ってはくれないのである当然のことに。
ちょっとどころではなく涙がでた。なにせ彼女はそのだめっぷりから大学進学も難しい。一年浪人を考えても、どうにかなる希望がわいてこないぐらい頭が悪いのだ。だから進学せずに高卒で就職希望だったのに、このままでは路頭に迷ってしまう。
まずい。まずすぎる。このままではニート、もしくはフリーター。せいぜいコンビ二店員がせきの山。あまりにも情けない。
だって、だってこれじゃあ。


「恭弥さんに顔向けできない……!!」


うわーん!!と今まで以上にぼろぼろぼろぼろ涙があふれて、それがとまる事はない。その声は今までで一番悲壮だった。

恭弥さんこと雲雀恭弥。

十数年を超えた幼馴染である彼に見捨てられてしまうことは、世の中の誰に後ろ指さされることよりずっとずっと重大ごとだったのだ。




そもそも壊滅的に頭が悪い彼女が高校に進学できたのだって、9割がた彼のおかげだった。彼ともう一度同じ学校に通いたくて、彼に褒めてほしくて、ただそれだけのために彼女は受験勉強を頑張った。あんなに必死になったことは人生初であった。命がけの死闘をそこには含まない事を前提としてだが。
そんな彼は大学進学しなかった。ようは彼女にとって受験勉強をする必要性がなくなってしまったのだ。
いくら頑張ったってそこにあの幼馴染がいない以上、やる気なんてわくわけがない。雲雀というエサのない彼女が、何年かかったって大学に合格なんてできるはずないのである。
かといって就職できるのかという質問の答えは目の前の紙の束。

「何してるんだい綱吉」
「ふんぎゃぁああああっ?!」

色気も何もない悲鳴を、呼びかけた本人――雲雀恭弥が掌で塞ぐ。そして広げられている紙の集合を確認した。
「なにこれ」
「ぷはっああああっ!!見ちゃ駄目です恭弥さんっ!!!」
真っ蒼になって、じたばたと暴れて手にとられてしまったその紙をとりもどそうともがくが、戦闘時でもない彼女がそれに成功する確率はゼロ。というわけで次の台詞へと続いた。

「……しばらく帰ってこなかった間に君こんなの受けてたの?」

呆れと、わずかに苛立ち、不機嫌さをまとわせた声。
高校を一足先に卒業して以来、雲雀は並盛から離れることが増えた。なんでも何か学校内での風紀委員に似た組織を外部で設立したらしいのだが、詳しい事は彼女も知らない。そして並盛から頻繁に離れるようになった彼が彼女との接触も減るのも当たり前で。ここ最近、メールやら電話はしても実際に会うことは稀だった。おかげでこうして彼女の就職活動についても知らなかった。
「こ、こんなのって……」
「こんなのだろう。どうせ君が受かるわけないんだから、時間の無駄だよ」
「ひどい?!」
いくらなんでもあんまりだ。やっぱり止まりかけていた涙が再びあふれる。本気でしょげている彼女――綱吉に気づいたのか、雲雀はわずかにむっと口元を歪ませた。

「別に君と奈々くらい、僕が養うよ」

当然のようにする宣言は、あまりにも堂々として、その台詞のおかしさにまったく気づいていない。



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