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やばいやばいやばい真剣にテストがやばいです。でもとまらない。書きたくてしかたないですいらっしゃいテスト前症候群!!(逝ってしまえ
いや、最近の更新で感想もらえたのが嬉しくてつい調子にのってごふごふ。
無自覚はたぶんそろそろ更新できます。あんまり進んでないけど。
影武者ツナ♀が今すっごい楽しいです。やばいです。なんか色々ばればれみたいですけど。これでも精一杯シリアスっぽく書いたつもりだったんですが、まあ所詮私の書く話ですからね。皆さんの想像通りとだけ(もう答えたも同然じゃないかよ!)
というかかなり長くなったのでもしかしてきちんとした更新にした方がいいですかね。

「僕は雲雀。故郷でアッロドーラを意味する言葉だよ」
内緒話でもするように、小声で呟かれる言葉。事実それは内緒話といえる内容だった。
守護者の中でも特にその正体を謎のままにしている彼の機密情報。
「ヒバリ……」
「そう。それが僕の本名。といっても、ファミリーネームだけどね」
「ファミリー……」
そうか、アッロドーラにも血縁がいるのだ。そんな当たり前のことにいちいち驚く。
どこか遠くの異国からきた人間なのだ彼は。どんなに人間離れしていようと、
いきなりこの世にぽっと生れ落ちたわけではない。故郷と呼べる地がある。ここではないどこかに。
自分の知らないどこかに。
「だからアッロドーラも完全に偽名ってわけでもない」
その言葉に、どこか嬉しくなる。
偽名しか知らないと思っていた彼の、わずかな一かけら。アッロドーラを呼ぶ人間は自分だけではないけれど、
それが特別な名であることを知っている人間はそうそういまい。彼は自分のことをそう簡単に他人には漏らさない。
もしかすると、彼に好かれている『ジョット』だけが唯一、それを知っているのかもしれない。
(偽者だけどね)
おまけに、それさえも告げることのできない臆病者だ。自嘲を表にださないようにすることにも慣れた。
彼の本当の名前。その響きは胸を熱くすると同時に凍らせる。けれどもう片方は、こんな自分にさえ優しい。

『ヒバリ』は『ジョット』に与えられた名だけれど、『アッロドーラ』は自分にも許された名である気がするから。

どこからか小鳥が飛んできて彼の肩に留まる。それを細い指が撫ぜる。
彼は動物、特に小さな生き物には好かれる性質だった。そして彼も、そんな存在を好んでいた。
寄ってこれば、あの凶暴さからは考えにくい繊細な指先で、赤子をあやすように撫でてやる。
その度にそんな存在が羨ましくなるなんて言わないけれど。
その指は、温かいだろうかと夢想する。あんなふうに優しく触れてもらえるなら、きっと自分はどんなものでも差し出すだろう。

彼が、手に入るのならば。

最近、アッロドーラとの交渉はほとんど全て自分が任されるようになった。たまたまの産物を、ジョットが勘違いした賜物。
結果的に自分が偽者だとばれる可能性が減った。アッロドーラの想いをジョットが知らずに生じる問題は、今のところ回避できている。
自分にとっては幸福であり、アッロドーラ本人にとっては、不幸としかいいようがない勘違い。
彼が『本物』のジョットと会える機会を邪魔してしまっている自覚はあった。
それでも会えば会うほど、『本物』と彼を会わせないほど、
その瞳の優しさに、ジョットではなく、自分が愛されているような錯覚を味わうことができる。
甘美で、幸せで、そしてあまりにも虚しい。
「好きに呼べばいい。でも、他の誰にも口外しないようにね」
「……ああ」
騙してごめんなさい。
――――愛しています。

なんのいい訳にもならない感情だった。







「おお、アッロドーラ」
「……帰る」
視界の隅に黒い影を認めた。ぴんと伸びた背筋のままに歩いてくる彼は、珍しい、いや久しい客だ。
正確にはもう少し会っているが、雲の守護者となってからは、どうやら相性がいいらしい『もう一人』にまかせることが多い男。
だがあくまであの子も『自分』だ。悟らせるような真似はしなかった。
ところが挨拶をしようとした瞬間、その男は踵を返して去ろうとする。
慌ててその腕を掴み引き止めれば、殺気の篭った瞳で睨みつけられた。苦笑がもれる。
「おいテメーボスに向かって……!」
「知らない。どうでもいい。目的は済んだ。邪魔しないでくれる」
仮にも自分の属している組織のトップに対する態度とは思えない言いようだ。
「オメーはもっと守護者の自覚をしろ!そもそも屋敷に顔を出す回数が少なすぎる!」
「なんで僕がそんなことしなくちゃならないの。ああ、そこの彼が一歩も動けないほどの高熱でも出して倒れたとかいうんなら毎日でもきてあげてもいいよ」
「なんだとテメー!!!!!」
「やめろ」
「しかし……!」
「気にするな。アッロドーラはそういう奴なんだ」
あっけらかんと渋い顔をした部下に藁って見せれば勢いはそがれる。
納得いかない、と顔にでかでかと書いてあるものの、ボスの命令は絶対である秘書兼嵐の守護者は押し黙った。
「すまんな」
「まったくだね」
「はっきり言うやつだな」
彼に隷属を望みたいわけではない。あくまで対等であって欲しい、というのはわがままだろうか。
「茶でも飲んでいかないか。たまには」
「遠慮するよ」
「もう帰るのか」
「今日はどちらにしろ時間はあまりないんだ」
じゃあね。
全く未練も見せずに再び踵を返す。急いているようには見えないのに、その背はぐんぐん遠くなっていった。
「あいつは一体何しにきたんだ……」
部下の声はたったこれだけのやりとりでも疲れを見せている。それとわずかな呆れ。突然やってきて何をするでもなく帰っていく。時間がないと言っていたそれはきっと嘘ではない。だったらなぜこんな無駄ともいえることをしにくるのか、彼にはさっぱりわからない。
「さて、な……」
ジョットでさえその答えはしらない。だが、その瞳は険しい。去っていく後姿を、何かを見透かすように見つめ続ける。
「わけわかんねーですよねあいつ。寄ってきたりこなかったり。
護衛だってどんな条件だしても呑まないこともあれば、なんの得もなしに
二つ返事で受けたりもしますし。何考えてんだか」
「さあな。あるいはあの男の中には規則性があるのかもしれないが」
あるいは、条件か。
(心当たりがなくもない、が……さて)

どうしたものか。


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