ひとことやらもしかしたら妄想文やら
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 合否は微妙。よくわからない。なるようになる。 「つなよし」 その人が呼ぶ名は、兄のそれとも響きが違う。かつて兄に与えられた名は、焦がれてやまない人の故国のものだと言う。ならばその響きは、本来そうあるべきものなのかもしれなかった。 その名が呼ばれるたびに、緊張と、歓喜が鋭く胸をさす。 「ひばり、さん・・・・・・」 なんでここに。 同じ建物内にいると、どこからか伝わってくる賑やかな雰囲気。大好きな兄が多くの人達に祝福されるのが嬉しくて、どこか満足な心地で珍しく自室でうとうとと気を緩めてまどろんでいると、同じく滅多にないことだがドアがノックされて。 初めは大して疑問にも思わず、まっさきに考えたのは急遽人手が足りなくなったのかな、ということだった。 とりあえず失礼でない程度に寝転んでいたせいで乱れていた髪の毛を手櫛で整えて、いつものように軽く顔を隠すように降ろす。そしてはい、と扉を開けた。 まったく予想もしていなかった人が、そこにいた。 「え?ええっ?!なんで・・・・・・」 つい本物か疑わしくて疑惑の眼差しを向けてしまう。自分という『偽者』の存在があるだけに、唐突に現われた人物が信じられなくて。それも一度も訪れたことがないどころか、教えた覚えさえもない自室に。 「君を誘拐しに。場所はあの男にきくはめになったけど。・・・・・・言っておくけど、本物だからね」 「っ・・・・・・」 静けささえありながら、それでいてなお刺すような厳しい雰囲気。胸が熱くなる。そうだ、こんな人が他にいるわけがない。こんな、傍にいるだけで泣きたくなるような気持ちになる人なんて。彼は間違いなく、本当に。 約束も何もないのに、きてくれた。 それも、今日この日に。覚えていたのか、知っていたのか、だからなのかはわからない。けれどどんな理由であれ、今ここにいるのは、確実にジョットのためではない。 理解した瞬間、頬が燃えるように熱くなって、すぐに青くなった。 だって今、自分はどんな格好だっただろうか。 (~~~~っ!!) 反射的に頭に手が伸びそうになるのを理性で抑える。 おかしくはない。おかしくはないはずだし、最低限人前に出れる程度には整っているが。でも今まで寝転んでいたわけで、ばっちりとは言えなくて、普段は『ジョット』として全てを完璧に装っていた後で対峙するばかりだったから、素のままというのはいまだに慣れていない。 PR ![]() ![]() |
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